道を歩くスピードは人それぞれ、僕は足が遅かった
足が遅かった
行動力はあると思ってはいるが、無鉄砲に突き進んでいくのは苦手だった、いや、勇気がなかった
ネコ脱出を結成した時も
大きな劇場に進出したり名声を求めたりもしたい気持ちはあった
ただそれ以上に
自分達に見合った場所で着実に面白い事をちゃんと長いスパンで継続していく事の方が難しく大変な事であり、自分に向いていると思った
地道に進んだ、周りはどんどん僕らを抜き去って行った、凄い数の団体達が現れては居なくなっていく光景を見続けた
継続する事の難しさを痛感した
それでも必死に道を歩き続けた
初めて本多グループの『劇』小劇場にネコ脱出で乗れた時はカーテンコールで泣いた
地道にやってきた事が認めて貰えた瞬間だった
それからも地道に地道にクオリティを上げて目の前のお客様に楽しんで頂く事だけを目標に歩き続けた
また新たな団体やユニットが現れては居なくなっていく光景を見続けた
10周年を迎えた時
自分達はこんなにゆっくり進んでて良いのだろうか?もっと目指す劇場や立ちたい場所を見つける努力はしなくて良いのか?
自問自答はもちろんずっとしてたし悩んだ事も多々あった
立ちたい場所はあった
少なくとも僕にはどうしても立ちたい場所が二つあった
MOTHERにいた時にも立てなかった劇場
コメディ劇団や人情劇団の聖地と呼ばれ全国の劇団やユニットが憧れた場所
僕にだってそれくらいの野望はあった
ただ、その場所に立てるほどの経験や実力はまだまだない!と
また地道に歩き続けた
10年目以降は大変な事が多かった
マンネリ化にも悩んだ
でも
沢山の仲間達との出会いと別れを繰り返し
ひたむきに人情コメディを貫いてきた
家族の絆を大切に、観た人が元気になって帰って行ける劇団にする為、歩き続けた
そうこうしていると
結成から19年もの年月が経っていた
そんな折、急に脳内で目指す場所のしっぽが見えた!
本当に急な出来事だった、しっぽが手に届く場所に見えた、だから僕は掴んだ
数年前の僕だったら躊躇していたかもしれない、なぜか本能的に掴んだ!
劇団員達の期待を背負って、向かった
いつの間にか膨大な数になった血と汗と涙の染みた19年分の劇団プロフィールを持って
そして決定しました
2023年4月5~9日
ネコ脱出結成20周年記念公演!!
ボクが憧れた聖地で
開催決定しました
@新宿シアタートップス
三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ、カクスコ、ラッパ屋、ボクが憧れた大先輩方々のホームに、ネコ脱出として向かいます。
ゆっくり、周りに追い抜かれ忘れ去られても『継続は力なり』と呟きながら歩いてきた道
歩き続けたからプロフィールが増えた、歩き続けたから20周年が見えた、歩き続けたから夢が叶った、歩き続けたから仲間が増えた
継続は力なり
この言葉を信じた事で沢山の夢が叶った
ネコ脱出一筋20年
飼ってた猫が逃げ出したのが20年前
一匹の黒猫が僕の人生をとても豊かにしてくれた
そして僕を信じて一緒に舞台に立ってくれる仲間達、僕の作品を信じて観に来てくださるお客様、ネコ脱出を20年かけて作ってくださったのは皆様です。
この場をお借りして
本当にありがとうございます。
ネコ脱出主宰
足の遅い高倉良文